澤乃井櫛かんざし美術館所蔵の江戸から昭和までの櫛かんざしを中心に約500点をご紹介します。その他に、細見美術館からは美人図絵や当時の化粧道具、婚礼調度品を。ポーラ文化研究所からは浮世絵といった所蔵作品を響き合う形で展示することで、歴史的背景と女性のお洒落にまつわる華やかな世界を堪能できる構成となっております。

江戸時代に髪を結い上げるようになり、櫛・かんざしは実用性を越えて装飾性を高めていきます。出品作品には江戸後期の最も工芸的技術が高い水準に達した時期のものから昭和まで、そして光琳、抱一、羊遊斎ら高名な美術家による逸品も含まれます。

鼈甲、象牙、金、銀、蒔絵、透かし彫り、螺鈿、切り子等、その素材・技法においても非常に広範囲に及び、モチーフも四季の植物や昆虫、人、動物、風景、能狂言、日本地図や幾何学文様といった時代を反映したものなど非常にバラエティに富んでいます。女性の必需品であったこれらは、いずれも掌サイズでありながら、日本の工芸の粋を凝縮した芸術品といえます。

日本の装飾工芸の高度な技術や芸術性をご覧頂き、髪型をはじめとした女性風俗の変遷などを通覧すると同時に、失われつつある日本古来の美意識を、そして“おしゃれ”を楽しむ心を、時代を超えて改めて認識する機会となることでしょう。

（上記掲載画像は出品予定作品となります。）